庄原市ご近所のこだわり米、山内自治振興区米つくり研究会(山内町)

庄原市広報紙「広報しょうばらNo.94(2013.1月号)」より

what_img01

竹パウダーと地域力をブレンド

山内自治振興区が取り組んでいるコメ作りの特徴は、『竹パウダー』を活用した土作り。
里山整備で切り出される竹をパウダー状にし、牛ふんと混ぜて肥料にします。
事務局長の実安裕美さんは「山内では竹が群生しその処理に悩まされていた。これを肥料として活用できれば、皆さんも利用してくれるのではと考えた」ときっかけを話します。
「初めて収穫したコメがおいしかった。だけど、自分たちがいくら『このコメはおいしい』と言っても評価してもらえない。それならば客観的に評価してもらおう」。
そう考え、全国的な米コンクールへの出品を始めました。JA庄原・市・県立広島大学の協力を得ながら、研究と土壌改良を重ねた結果、年々コメの食味がアップ。3年目となり一定の手応えを感じていた昨秋、大阪府民のいっちゃんうまい米コンテストで最優秀賞に選ばれました。
 
「自信はありましたが、まさか最優秀賞とは思っていなかった」と研究会代表の松田一馬さんは驚きます。この受賞で一気に注目され、多くの問い合わせを受けるようになりました。有名デパートでの販売も決定。今後、さらに取引が広がっていくものと期待しています。
山内は、同研究会をはじめ、個人や営農集団などがそれぞれ竹パウダーを活用したコメ作りに取り組んでいる地域。品質を維持するため、堆肥をまく量や時期などを細かく決めたマニュアルを作り、25年産米から統一して取り組む予定です。
「よい食味や品質を保持することがブランド化には必要。それを生産者の人にも理解してもらいながら、信用されるコメを作っていきたい」と力を込めます。今後、30ヘクタールを目標に面積拡大を目指します。「竹パウダーを各農家でもっと利用してもらい、山内ブランド米『里山の夢』作りに参加してもらいたい」。ブランド化が、コメ価格アップ、生産者の意欲向上につながるのではと期待を寄せる研究会メンバー。「山内は標高が低く、おいしいコメが出来にくいところ。しかし、やり方によってはおいしいコメができる。1回きりではまぐれだと言われるので、もう1年挑戦したい」と燃えています。
 
指導した山内小学校の受賞を喜ぶ
山内小学校では地域に住む市川チエ子さんの田んぼ5㌃を借りて、主に5年生が総合的学習の時間でコメ作りを行っています。市川さんはこれまで11年間、児童にコメ作り指導を行い、その心得を説いてきました。「ただ教えるだけではなく、疑問に思ったら家に帰っておじいちゃんやおばあちゃんに聞くように言っている」と市川さん。家庭でコメ作りの話題が上ることで、家族円満にもつながっているのだそう。同校の兼丸裕子校長は「ここのように豊かな経験ができるところはなかなかないと思う。将来農業の道に進みたいという子も出てきた」と農業への関心が深まっていると感じています。そこに今回のコンクール金賞という報告が届きました。
「市川さんの協力に、自治振興区の取り組みが加わったことで好結果に結びついた」と兼丸校長。この結果に5年生全員が「びっくりした」と驚きながらも「作業は大変だったけど、地域の人たちのおかげ」と感謝しています。


広島県庄原市ホームページ、広報しょうばら2013年1月号のページを開きます(NO.94)